吐きそう・・・
私は極度に緊張していた。
3月14日
今日は友子の手術当日。
「卵巣癌」と診断され、卵巣、子宮、下肢のリパ節の全摘出。癌が腸への転移が疑われているため直腸の一部切除の。手術時間は7時間を超えると医師から説明を受けていた。
8時30分に手術室へ向かう友子を送り出し、私は一人友子の個室の病室で待つこと1時間
ドラマなんかだと、手術室の前でウロウロしたりするのだろうけど、友子の病室の個室に一人でいると余計に緊張感があるというか。
時間が止まっているんじゃないかと思えるほど、時の流れがゆっくりに感じる。
尋常じゃない緊張感に襲われ吐きそうになり、さっきから何度もえずいている。
チク・・・チク・・チク・・
病室の時計の音が聞こえる。私が緊張してもしょうがないのに
チク・・チク・・チク・・
そうだ! シャワーを浴びよう!
病室は個室でシャワーも完備されている。手術が終わるまでまだまだ時間がかかるし、このままの状態でいると手術終了時までに私が疲労困憊で倒れてしまう。
気分転換の為、シャワー浴びる。
数分後・・・
ふい〜 極楽じゃ♪・・・・眠くなってきた。
シャワーを浴びてすっかり心も体もリラックスし、眠気が襲ってきた。
そうだ!少し寝よう!
病室は個室でベットも、もちろん完備されている。
私はパンツ一丁のままベットに横たわる。個室なので他の患者に見られることもない。
・・・・
ほんの一時の眠りにつく。
「キャー!!すいません!」
女性の声で目がさめる。
ん!?なんだ!?
寝ぼけ眼であたりを見回すと、女性看護師が私を見ている。
見ている!? あ! やべ!パンツ一丁だ!
「あの・・友子さんのベットの周りに機材を設置しますので、手術室の前に移動していただけますか?」
そう看護師が私に告げる。
「あ!はい!」
慌てて起き上がる。
「あ!服は着てくださいね」
「あ!はい!」
慌てて服を着る。
・・・・
まさか看護師が入って来るとは、油断してたぜ・・・
手術室前に移動し、手術の終わりを待つ
5時間経過
6時間経過
7時間経過
17時30分頃
「無事に終わりましたよ」
手術を担当した医師より言葉をかけられる。
「人工肛門も設置することもなく無事に終えることができました。」
心から安堵した
友子の手術は直腸の一部を切除する為、場合によっては人工肛門の設置の可能性もあると説明を受けていた。うまく腸を接合することが出来たので人工肛門の設置をするには至らなかったようだ。
本当に良かった。
「友子さんから伝言を預かっています。」
「なんでしょうか?」
「私は大丈夫だから心配しないで。」
と言われていましたよ
・・・・
馬鹿だな。
こんな時は人の心配なんかしないで、自分のことだけ考えてればいいのに。
本当に馬鹿だな。
次回
友子の癌闘病日記 第三話「差し入れは優しさと、ほんの少しの悪戯心」